世界は音で満ち溢れていた。

 五感に得る全ての情報を頭の中で検索し、意味・用途を理解して、判別、対応する。

 少年は全ての事柄に対して、定義以外の感情を持ちえなかった。

 愛情、友情、親愛、友愛はおろか、嫌悪や悲しみさえ。

 あるのはそれが目的に対して利用できるか否か。

 

 機械のように考え、

 

                                        最も効率的なやり方を

 

 機械のように動き

 

                                             最速、最短で

 

 ただ殺す。

 

 それだけが唯一、少年に許された行為。

 それだけが唯一、少年の知っている行為。

 それだけが唯一、少年の存在意義だった。

 

 

 

 

T